マイデザイン思考ノート

デザイン思考でAIツールの個人的な活用方法を探求し、実践した私の記録

Tags: デザイン思考, AI活用, 自己成長, 効率化, 実践記録

デザイン思考で新しいテクノロジーを自分ごとに落とし込む

近年、AI技術の進化は目覚ましく、仕事や生活の様々な場面での活用が期待されています。私自身もその可能性に強い関心を抱いており、個人的なプロジェクトや日々の活動にどのようにAIツールを取り入れられるか、漠然と考えていました。しかし、情報があまりにも多岐にわたり、どのツールを、どのように使えば、自分自身の具体的な課題解決や目標達成に繋がるのか、明確な道筋が見えずにいる状況でした。

そこで私は、これまで仕事の文脈で活用してきたデザイン思考のアプローチを、この個人的な「AIツールの活用」という課題に適用してみようと考えました。デザイン思考は、表面的な課題だけでなく、その背後にある真のニーズを理解し、多様な視点から創造的な解決策を生み出し、試行錯誤を通じて具体化していくプロセスです。このプロセスを経ることで、情報過多な状況から抜け出し、自分にとって本当に価値のあるAI活用方法を見つけられるのではないかと期待しました。

自身のニーズを掘り下げる(共感・問題定義フェーズの実践)

デザイン思考の最初のステップは「共感」です。これは通常、対象ユーザーの視点に立つことですが、今回は自分自身の課題ですので、徹底的な「自己共感」、つまり内省を行うことから始めました。

具体的には、まず自身のライフスタイル、趣味、日々のルーティン、そしてそこで感じている小さな「困りごと」や「もっとこうなれば良いのに」といった願望を書き出しました。例えば、ブログを書く際のアイデア枯渇、新しいスキルの学習効率、個人的なタスク管理の煩雑さ、趣味の写真編集にかかる時間などです。これらの「困りごと」や願望の背後には、どのような自身のニーズがあるのかを深く掘り下げました。

次に、現在利用しているツールやサービス、情報収集の方法などを整理し、AIが介入することでどのような変化が期待できるかを想像してみました。この段階では、まだ具体的なツールの知識は浅くても構いません。あくまで「こういうことができたら嬉しい」「このプロセスをもっと楽にしたい」といった自身の純粋な願望やペインポイントを洗い出すことに注力しました。

この内省と整理を通じて、私の根源的な課題は、「日々生まれる多様なアイデアや情報を整理し、具体的な行動や成果(ブログ記事、学習成果など)に繋げるプロセスが非効率であること」、そして「新しい技術(AI)に対する漠然とした期待感はあるものの、それを自分の文脈でどう活かすかの具体的なイメージが持てず、試すことすらできていない」という点にあると定義しました。解決すべきは「AIツールの導入」そのものではなく、「AIツールを『情報整理・行動転換の効率化』という自身の具体的なニーズに結びつけ、活用を開始する具体的なステップを見つけること」であると再定義できたのです。

多様な可能性を模索する(アイデア創出フェーズの実践)

問題定義ができたら、次は「アイデア創出」です。定義した課題に対して、AIツールを使ってどのような解決策が考えられるかを幅広く発想しました。ここでは、実現可能性は一旦横に置き、「こんなことがAIでできたら面白い」「もしかしたらこれが役に立つかも」といった自由な発想を心がけました。

例えば、以下のようなアイデアが生まれました。

これらのアイデアの中から、自身の課題解決に最も効果的である可能性が高く、かつ、現在のAI技術で比較的実現しやすそうなものを選び出す作業を行いました。この絞り込みの基準としたのは、「情報整理・行動転換の効率化」という定義した課題に直結するかどうか、そして、日常生活に無理なく組み込めるか(自身へのフィット感)という点でした。

その結果、「ブログ記事の構成案作成をAIに依頼する」というアイデアが、私の「アイデアや情報を具体的な成果に繋げるプロセスが非効率」という課題に対し、直接的に貢献しうる解決策として最も有望であると判断しました。また、文章ベースのAIツールであれば、比較的容易に試せるだろうという見込みもありました。

小さな一歩を踏み出す(プロトタイプ作成・テストフェーズの実践)

絞り込んだアイデアを、具体的な「プロトタイプ」として形にし、実際に試してみる段階です。私の選んだアイデアは「ブログ記事の構成案作成へのAI活用」でしたので、これを実行するためのシンプルな計画を立てました。

プロトタイプ:週に一度、次回のブログ記事テーマを決め、特定のAIツール(当時はまだChatGPTが一般的になり始めた頃でした)にそのテーマに基づいた構成案を生成させる。

テスト方法:実際にAIが生成した構成案を用いてブログ記事を書いてみる。その際の執筆時間、アイデアの出しやすさ、記事の質の変化などを記録する。

このプロトタイプを数週間実行してみました。最初のうちは、期待していたような構成案が得られないこともありました。AIへの指示(プロンプト)が曖昧だったり、私の意図がうまく伝わらなかったりしたためです。しかし、試行錯誤を重ねる中で、より具体的な指示の出し方(例: ターゲット読者層、記事の目的、含めてほしいキーワードなどを明確に伝える)や、生成された構成案をそのまま使うのではなく、あくまで「たたき台」として活用し、自身の考えを加えていくことの重要性に気づきました。

このテスト期間中には、予定していた週1回の実行が難しい週もありました。これは、AIを使うこと自体が目的になってしまい、本来の目的である「効率的な記事作成」から逸れてしまったり、新しいツールに慣れるための時間確保が課題になったりしたためです。デザイン思考のプロセスでは、このようなプロトタイプ実行中の予期せぬ課題や結果から学ぶことも重要です。私はこの経験から、ツールを使うこと自体を目的化せず、常に「情報整理・行動転換の効率化」という本来の課題解決に繋がっているかを意識すること、そして、新しい習慣を定着させるためには無理のないペースで始めることが大切だと再認識しました。

実践から得られた結果と学び

このデザイン思考プロセスを通じて、私は自身の個人的な課題に対して、AIツールをどのように活用すれば効果的かという具体的な方法を見つけることができました。ブログ記事の構成案作成においてAIを活用する習慣は、完璧ではないにしても、記事作成のスタートを切るハードルを確実に下げ、以前よりもスムーズに執筆を進められるようになりました。これは、「アイデアや情報を具体的な成果に繋げるプロセスが非効率である」という課題に対する一定の改善であると言えます。

さらに重要な学びとして、新しい技術やツールに飛びつく前に、まずは「自分自身の真のニーズは何なのか」「解決したい課題は何か」を深く理解することの重要性を改めて認識しました。デザイン思考の「共感」と「問題定義」のフェーズを経ることで、漠然とした「AIを使ってみたい」という思いが、「自分のこの課題を、AIのこういう機能で解決できるかもしれない」という具体的なアイデアに変わり、それが行動へと繋がりました。

また、「プロトタイプ作成」と「テスト」の重要性も実感しました。頭の中で考えているだけでは見えなかった課題(例: プロンプトの難しさ、習慣化の壁)が、実際に試してみることで明らかになり、それに対する具体的な対処法を考える機会が得られました。失敗や期待外れの結果も、より良い解決策を見つけるための貴重な情報となります。

結論

デザイン思考を個人的な課題解決に適用することは、非常に有効なアプローチであると私は確信しています。特に、情報過多な現代において、何に手をつければ良いか分からない、自分の真のニーズが見えにくいといった状況では、デザイン思考のプロセスを経ることで、課題を明確に定義し、創造的な解決策を模索し、具体的な行動へと繋げることができます。

今回私はAIツールの個人的な活用というテーマで実践しましたが、このアプローチはキャリア、趣味、人間関係、健康など、あらゆる個人的な悩みや目標に応用可能であると考えられます。もしあなたが今、何か個人的な課題に直面しているものの、どうすれば良いか分からずに立ち止まっているとしたら、デザイン思考のフレームワークを使って、まずは自分自身の声に耳を傾け、真の課題を探求することから始めてみてはいかがでしょうか。そして、小さくても良いので、具体的な行動計画(プロトタイプ)を作り、試し、そこから学びを得て、次に繋げていく。この繰り返しこそが、自分らしい解決策を見つけ出す鍵となるはずです。