マイデザイン思考ノート

デザイン思考で情報収集・整理習慣を最適化する試み

Tags: デザイン思考, 情報収集, 情報整理, 習慣化, 自己改善

情報過多時代における個人的な課題とデザイン思考への期待

現代は、インターネットやSNSを通じて日々膨大な情報が流れ込んでくる時代です。仕事においても個人的な活動においても、必要な情報を選び取り、整理し、活用することがますます難しくなっていると感じていました。特に、企画職という立場上、常に新しい情報をインプットし、それをアイデアや提案に繋げる必要があります。しかし、ブックマークは溜まる一方、保存したファイルはどこに行ったか分からなくなり、結局いつも同じ情報源ばかり見てしまう。そんな状態に陥っていました。

この「情報収集・整理がうまくいかない」という状況は、単に効率が悪いだけでなく、情報に追われる感覚や、せっかく得た知識が活かされないことへの焦りにも繋がっていました。これは、仕事における課題であると同時に、私の個人的なウェルビーイングにも関わる大きな悩みでした。

これまで業務でデザイン思考のアプローチに触れる機会があり、ユーザー視点に立って本質的な課題を発見し、解決策を iteratively(繰り返し)生み出していくそのプロセスに感銘を受けていました。ふと、「このデザイン思考を、私自身の情報収集・整理という個人的な課題に適用してみたらどうなるだろうか」と考えたのが、今回の試みを始めたきっかけです。単なるツールやテクニックの導入ではなく、自身の情報との向き合い方そのものをデザインし直す。そこに可能性を感じました。

課題の深掘り:私の情報収集・整理における本質的な悩みは何か(共感・問題定義)

デザイン思考の最初のステップは「共感」です。通常はユーザーへのインタビューなどを通じて行いますが、今回は自分自身の個人的な課題であるため、まずは徹底的な「内省」から始めました。

これらの内省や対話を経て、私の情報収集・整理における本質的な課題は、単に「情報が多すぎる」ことではなく、「集めた情報を自分にとって意味のある形で『消化』し、『活用』に繋げる仕組みがない」ことだと再定義しました。必要な時に必要な情報を取り出せない、情報を知識や行動に転換できていない状態こそが、私の真の悩みであると明確になりました。この課題定義は、「消化と活用を促進する仕組みをデザインする」という、次のステップに向けた明確な指針となりました。

解決策の模索:消化と活用を促進するアイデアを生み出す(アイデア創出)

定義した課題「消化と活用を促進する仕組みがない」に対し、多様なアイデアを発想する「アイデア創出」フェーズに入りました。ここでは、「こんなことできたらいいな」という理想論から、「これならすぐに試せそうだ」という現実的なものまで、幅広く考えました。

最終的に、以下の3つのアイデアを組み合わせたプロトタイプで試してみることにしました。 1. 情報収集時間を限定する(例:朝の通勤時間だけ) 2. Bookmarkは「一時置き場」とし、週に一度必ず見返して不要なら削除、必要なら専用のノートツールに要約・保存する 3. 特定のテーマに関する情報は、特定の情報源からのみ得るようにする

具体的な行動計画と試行:小さく始めて改善する(プロトタイプ・テスト)

絞り込んだアイデアを、具体的な行動計画である「プロトタイプ」として実行に移し、その結果を「テスト」するフェーズです。

このように、一度決めたプロトタイプに固執せず、テストからのフィードバックを受けて柔軟に改善していくプロセスを繰り返しました。最初の計画通りには進まないことの方が多かったのですが、「これはダメだった」「こっちの方が良さそうだ」という気づき自体が重要な学びとなりました。特に、「Bookmarkを要約する」という行為が自分には向いていない、という発見は、試してみなければ分からなかったことです。代わりに「一言メモを残す」というライトな方法に変えたことで、継続しやすくなりました。

結果と学び:デザイン思考がもたらした変化と気づき

数ヶ月にわたるこの試みを通じて、私の情報収集・整理習慣は少しずつ変化しました。劇的にすべての情報が整理されたわけではありませんが、以前のような「情報に追われる」感覚は薄れ、必要な情報へのアクセスがスムーズになったと感じています。

特に大きかったのは、以下の点です。

一方で、デザイン思考を個人的な課題に適用する上での限界や難しさも感じました。他者との共感が限定的であること、自分自身が観察者であり被験者でもあるため客観性を保つのが難しいことなどです。しかし、それでもこのフレームワークを通じて自身の課題に体系的に向き合えたことは、大きな収穫でした。

結論:個人的な課題解決にもデザイン思考を

情報収集・整理という日常的で個人的な課題に対し、デザイン思考のプロセスを適用した今回の試みは、私にとって非常に有益な経験となりました。単なるハウツーではなく、自分の内面を深く掘り下げ、多様な可能性を模索し、小さく実践して改善していくという一連の流れが、持続可能な変化を生み出す鍵となることを実感しました。

もし、あなたが仕事だけでなく、キャリア、人間関係、健康、趣味など、個人的な領域で何か解決したい悩みや達成したい目標を抱えているなら、デザイン思考のアプローチを試してみる価値は十分にあると思います。まずは、ご自身の現状を深く観察し、本質的な課題は何かを問い直すことから始めてみてはいかがでしょうか。完璧な答えを一度に見つけようとせず、小さく試して、そこから学びを得て、また改善するという iterative なプロセスを楽しむことが、より良い未来をデザインするための第一歩となるはずです。